1980年代末から90年代初頭にかけて、ロンドンのアビーロード・スタジオで、驚くべき吹奏楽ディスクが録音制作された。この『惑星』『ローマの松』『展覧会の絵』などである。まず演奏が、事実上この録音のために編成された「ロンドン・シンフォニック・ウインド・オーケストラ」(LSWO)であったこと。メンバーは、フィルハーモニア管、ロンドン響、ロンドン・フィル、ロイヤル・フィル、BBC響など一流オーケストラの管打楽器奏者。ほかに王立音楽院の有名教授、トップ軍楽隊の奏者も含まれていた。いわば、イギリスの一流管打楽器奏者を総動員した“ドリーム・バンド”である。当時のイギリス音楽事情に詳しい方だったら、ブックレット内のメンバー表にため息が出るに違いない。さらには、使用スコアのほとんどが、この録音のための新編曲である点も驚きだった。いったい、こんなことを実現させたのは誰か。それが指揮者のエリック・バンクス(1932〜)だ。このディスクは、日本の吹奏楽関係者に衝撃を与えた。 この音源は、現在の吹奏楽ブームの扉を開いた水先案内人だったのである。(ライナーノーツより)