3歳からピアノを始め、7歳でオーケストラと共演。数々のコンクール最年少記録を塗り替え、2011年1月には、「ショパン国際コンクール in ASIA」にて、年齢制限のない最難関部門でも最年少金賞を受賞した。2010年の「ショパン生誕200年」には、ポーランドが「ショパンに貢献した世界の100人」に授与した「ショパン・パスポート」を最年少で受け取った。
世界からの注目は広がるばかり。活躍目覚ましい15歳の小林愛実が、セカンド・アルバムでは、自身がこよなく愛するベートーヴェンとシューマンに挑んだ。
ベートーヴェンの2曲のソナタでは、ひたむきな思いで作品の内部へと没入し、作曲家が意図したことを浮き彫りにしようとする真摯な姿勢が音となって表れている。ベートーヴェンが音符に託した精神、意図が彼女のフィルターを通してみずみずしい音となって蘇っている。小林愛実の一番の美質、このみずみずしい音楽性がここでは全面開花。
一方、シューマンの「子供の情景」では、聴き手は、第1曲目から幻想的で夢見る世界へといざなわれる。小林愛実はまだそんなに時を経ていない子供時代をリアルに音に託し、まさに「自分の音楽」として自信を持って演奏している。
伊熊よし子(ライナーノーツより)
ベートーヴェンとシューマン。自身が愛する重量級の作品に挑んだ、
世界の注目を集め続ける15歳のピアニスト小林愛実、待望のセカンド・アルバム。
| ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13『悲愴』 | |
|---|---|
| 01. | 第1楽章:グラーヴェ-アレグロ・モルト・エ・コン・ブリオ |
| 02. | 第2楽章:アダージョ・カンタービレ |
| 03. | 第3楽章:アレグロ |
| ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番へ短調作品57『熱情』 | |
| 04. | 第1楽章:アレグロ・アッサイ |
| 05. | 第2楽章:アンダンテ・コン・モート |
| 06. | 第3楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ |
| シューマン:子供の情景 作品15 | |
| 07. | 第1曲:見知らぬ国から |
| 08. | 第2曲:不思議なお話 |
| 09. | 第3曲:鬼ごっこ |
| 10 | 第4曲:おねだりする子供 |
| 11 | 第5曲:みたされた幸福 |
| 12 | 第6曲:重大な出来事 |
| 13 | 第7曲:トロイメライ(夢) |
| 14 | 第8曲:暖炉のそばで |
| 15 | 第9曲:木馬の騎士 |
| 16 | 第10曲:きまじめ |
| 17 | 第11曲:こわいぞ |
| 18 | 第12曲:眠る子供 |
| 19 | 第13曲:詩人は語る |







小林愛実が、初めてピティナ・ピアノコンペティションに参加したのは、2001年の5歳の時。以降、6歳でC級(小6以下)、7歳でE級(中2以下)、8 歳でJr.G級(高1以下)で全国決勝大会に進出し、金賞を受賞。翌年の全日本学生音楽コンクール優勝も含め、過去の最年少記録を次々と塗り変えていった。瞬く間に、「小林愛実」の名前は全国に拡がり、「神童」「天才少女」と呼ばれた。音楽関係者から子育て中の保護者まで広く、そして常に、注目の的であり続けてきた。
山口県から東京の二宮裕子先生のレッスンに、1人飛行機で通う生活から、一転。2年前より二宮先生宅のあるマンションに一家で転居し、エレベーターでレッスンに通う生活になった。天性の感受性、音楽性、そして感覚的な真似の早さでもって、幼少期から目を見張る成長をとげてきたという愛実さんにとって、この2年間は、"与える段階から、徐々に自分で考える段階へシフトしている時期"と、二宮先生は位置づけている。
夕方、中学校から帰宅して一息つくと、二宮先生宅の一室でピアノに向かうのが、最近の愛実さんの日課だ。夜9時までは、自宅に戻らない。この3時間程をどう使うかは、愛実自身で考える。高い集中力を発揮して練習やレッスンに没頭するときもあれば、来客とのおしゃべりに花を咲かせたり、二宮先生とコンサートや買い物に出かけたりするときもあるという。
2007年4月より桐朋学園大学音楽学部付属の「子供のための音楽教室」に、特待生として入学。今まで特に勉強してこなかったソルフェージュ、コーラス、作曲などを通して、幅広く基礎力をつけている。パリのサル・コルトーやニューヨークのカーネギーホールでのコンサート、モスクワでのコンチェルトなど、国際舞台でも演奏を積み重ね、小林愛実の演奏の模様はフランスのテレビ局によりヨーロッパ全土へ放映され、大きな反響を呼んだ。2008年には、初めての CD収録を体験。こうした一つ一つの経験が、ピアニストとしての素地を育んでいる。
「人を感動させるピアニストになりたい」というのが、幼いころからの変わらぬ夢。「今までは、気持ちで何とか乗り切ってきたけれど、このようなコンサートの機会を重ねるうちに、人を感動させるには、その場の気持ちだけではどうにもならないということが、だんだん分かってきたような気がします。音を立たせることができなければ、観客席の遠くまで音が届かないし、音が届かなければ、気持ちなんて届かないし。これからもたくさんの方々の力を借りながら、練習も精一杯がんばって、自分には足りない部分を一つずつ自分のものにしていきたいです。」
(2009年1月27日のピアノ協奏曲コンサートを終えて/ピティナ「PianoStage」より)