TOCT-11311
1968年発売
横浜本牧が生んだスーパーグループの記念碑。孤高の緊張感を突き刺すような表現力で生み出す。ヒット曲の異和感こそむしろ特異性の証明。生まれついてのアウトロー的なキナ臭さは土地の風のせいと思わずにはいられない。「ヘイ・ジョー」を地球上のどのバンドよりもサイケデリックに解釈して聴かせているのも驚異的だが、R&Bの粘着力あふれる演奏と歌唱も1968年の日本においては極上のもの。アート・ロックもお手のもの。
TOCT-11313
1974年発売
オリジナル・メンバーによるアルバム。いきなり岡林信康作の労働エレジーの深いカヴァーで幕を開ける。従来のブルースを自分たちの血で洗い直してなおさら濃厚な歌にして返答している。音楽に対する念力の強さはただならぬもの。路地裏や西陽しか当たらないアパート、ドブ川の淀み、そうした日本の陰影を歌で描出する。湿度とドライな歌心の同居が独特のコクを生んでいる。
TOCT-11314
1975年発売
ブルース・クリエイションから"ブルース"が取れての初作。ブリティッシュ・ロックとサザン・ロックの両方のフレイヴァーを併せ持つ。リーダー竹田和夫のギター・テクニックは極上だが、作り出すメロディーへの哀愁のしのばせ方が心ニクイ。全編英語作品だが、そこはかとなく日本的風情もある。おのずとワールド・ワイドな視座を感じさせもする。活力ある改作。
TOCT-11315
1982年発売
後のTHE虎舞竜のザ・トラブル名義によるファ―スト。快調で粘り気のあるビートと歌の関係はストレートで抜けがよい。シンプルだからこそ伝わる喜怒哀楽。青臭さと大人びた感傷の中間を見事に突く。切れがよく心に残るギター・リフの数々。マージー・ビートを存分に消化した者ならではのマジックがそこかしこに。清涼感あるコーラスも効いている。
TOCT-11316
1986,87年発売
夢幻の境を漂っているような、清冽な空気が心地よい。汎ヨーロッパ的なアプローチは鋭く、しかしその生み出す音楽の表情はおだやかで柔和。幅広く奥深い音楽性で絵本のページを次々にめくっているような驚きがある構成。聴くほどに様々な発見がある。多彩な音色の交差も楽しい。無国籍というより地球全体を視野に入れている音楽というもの。夢見心地にも誘ってくれる。
TOCT-11317
1986年発売
激越なだけではない。全面突破への希求というものがみなぎっている。低いボトムで攻めるサウンドの充実度も十二分。確かなテクニックはもちろんのこと随所に意外な音がちりばめられてもいる。疾走感ならお手のもののリズム・セクションの技は硬派な姿勢の中にまろやかささえ感じさせる。高い音圧、スリリングな小技、豪快な団結力というものを感得できる。
TOCT-11318
1987年発売
無邪気さが膨張して破裂寸前のロックンロール。後にさらに強まるルーツ・ミュージック志向はここでも底のほうでしっかり主張している。ビートの探求に取り組んでいる結果に過ぎない、という自信を感じさせる。理屈よりも先に身体が動いてしまうということだろう。安定した演奏力がなにより楽しい。マッチョではない。が、精神は筋肉質なのかも、と思われるロックンロール。
TOCT-11319
1994年発売
ギザギザで切れのいいギターが忘我の境へと誘う。そににうねうねとからんでいく歌、歌、歌。どこまでいっても終わらない迷宮をさまよっているような気持ちを誘発する。しかしそれこそが快感。変則的なアプローチも多々見せつけている。これも社会現象か?と思うよりも、行き場のない怒りが創造された結果と考えるべきでは。問題提起としての音楽。
TOCT-11411
ビートルズからの影響をあえて包み隠さず示すことで独創性を獲得した名作。全曲喜多嶋修の作曲。アレンジと音作りに数々のアイディアを導入している。当時においては特異な実験作。あくまでも仕上がりはソフトだが、その底に非常に熱い意欲を感じさせる。続く「OASY王国」と併せて聴けば、喜多嶋の創意の深さがより立体的に楽しめる。GS期にあってはとりわけ特殊な作品のひとつ。
TOCT-11412
パロディー精神あふれる名作。ジャケットも中身もアイディアいっぱい技いっぱい。ラテン・フレイヴァーをふんだんに盛り込んだカヴァーも秀逸だが、オリジナル曲の濃度の高さがまた素晴らしい。様々な意匠による音楽の旅といった風情で、あくまでもアダルトな作法が貫かれている。ギタ―不在のバンドだが、キーボードが特殊な働きをするので、不足感はまるでなく、むしろギター以上の活躍ぶりである。
TOCT-11413
1970年発売
元ザ・ゴールデン・カップスのドラマーがひたむきに歌謡曲に挑んだアルバム。素直に、真摯に歌うことと改めて向き合っている。誇張された節まわしは一切なく、もともとの美声を活かした哀愁たっぷりの選曲も親しみがもてる。こぶしをあまりまわさないクールな唱法だが、湿度もしっかりと保たれている。細やかなテクニックの駆使がうれしい。ロックからの転身ではあるが、歌の心は不変であろう。
TOCT-11414
ギタリストの発地伸男、元ファーラウトの石川恵樹、武田治らによるプログレッシヴなバンドのライヴ録音によるファースト・アルバム。アメリカ・カリフォルニアのウイスキー・ア・ゴーゴーにて。ドラムス、ギター、ベース、キーボードの4人にテクニックを駆使し邦楽のエッセンスをしっかりと様々ロック化している。のどかさや麗しさ、雅な空気さえ漂う。壮大なドラマが想定されている。
TOCT-11415
シングアウト解散後に惣領泰則が結成した男女混成バンド唯一のアルバム。ロサンゼルスを拠点に本格的に活動していた。ポール・マッカートニーから曲をプレゼントされたりもしている実力派。その活動史をドキュメントするかのように描いた曲を交えて構成されたアルバム。高度の技巧で創意に満ちた曲が次々に登場。ロック・ミュージカル、あるいは映画のような展開の奇跡的な傑作。音響的色彩の豊かさも特筆すべきもの。
TOCT-11416
1976年発売
悔しくも他界した名優のファースト・アルバム。身にしみる。心にしみる。演出力を誇るわけではもちろんなく、歌手を演じているのでもない。肉体から自然に出て来たものだが、笑いと悲しみは背中合わせであることを腰を落ちつけて伝えている。ブルージーなのは当たり前。痛さや苦さも当然たっぷり味わえる。アウトローのようで人なつこい、そういう愛すべき人格を強く感じさせる。
TOCT-11417
ゴールデン・カップスの名ギタリストの個人名義の名作。柔和な歌唱、ファンキーで軽快なシティ・ポップスであるが、あくまでもそのシティは横浜。決していつわりのスマートさでまとめられはしない。アクの強い人たち、ニヒルな恋愛や裏社会のいざこざ、それらをすべてひっくるめた"街のブルース"としてのシティ・ポップスだ。上っ面だけですませようとすれば痛い思いをする。
TOCT-11418
1991年発売
名うてのキーボーディストの初ソロ・アルバム。へヴィなファンクで勝負している快作。Pファンクのジョージ・クリントンやメイシオ・パーカーらがゲスト参加してホッピーの才気も爆発。広い音楽性を持つ才人だが、ここではファンクにフォーカスをしぼっている。それもファンクの実験精神に。派手で太くて視野はあくまで広い。ダンス・ミュージックだが、ダンスを破壊してしまうこともあるのがファンクだとわかる。
TOCT-11419
ヤマジカズヒデの特異なエレクトリック・ギターを中心にしたトリオ。鋭さと気だるさの同居したうねりが素晴らしい。整然とした構成の曲であっても常にどこか不穏なのが魅力的。音圧で威嚇するのではなく、歪みで幻惑するだけでももちろんなく、演奏の密度を高めることで高揚感をももたらす。スピード感の変幻自在な心地よい異和感。めくるめく聴覚の冒険を体験してゆくうちに自然におとずれる覚醒感。