TOCT-11320
1970年発売
ジャズでもロックでフォークでも歌謡曲でもなく、そのすべてでもある歌の奥にやわらかい闇をたたえる名作中の名作中の名作。寺山修司が全体の構成を担当し、街頭と路地裏、夜の底にただよう魔物に寄り添うマキ像を演出している。一曲一曲のドラマがひとつひとつ重い。日本にしかないブルースの一種であるが、この空気を歌い継ぐことの困難さを思い知らされる奇跡の作品である。
TOCT-11321
1971年発売
谷村新司がアリスの前に在籍していた男女混合のグループ、唯一のアルバム。活動期間は67~71年で、日本のフォークとロックの黎明期にあたるが、その中にあってはポップで多様な音楽性を発揮した特異なグループであった。松田幸一、今井裕といった後に活躍するミュージシャンの参加も。谷村の個性的ユーモアが随所にちりばめられている楽しいアルバム。歌唱面ではすでに谷村節が濃厚に味わえる。
TOCT-11322
1973年発売
ビートルズの完全コピー・バンドの代表的存在である4人組の入魂のアルバム。“ビートルズになる”ことに音楽的精密さで挑戦してみせた姿勢に技術がともなっているすごさ。日本における『ミート・ザ・ビートルズ』にあたる『ザ・ビートルズ!』の曲順そのままカヴァーしてみせている。トリビュートではなくこれは精神の転写である。ビートルズがいかに世界を変えたかについてストレートに再考させるパワーにあふれている。
TOCT-11323
1986年発売
女性グラム・ロッカーの代表格というべきか。妖艶さと可憐さと不可思議な謎とを併せ持ち、しかも理知的な風情を漂わせる。近未来型ロックが続々登場する楽しいアルバム。70年代の味わいを残しつつコンパクトなギター・ポップに仕上げている。サディスティック・ミカ・バンドに通じるシャレや夢見るようなロマンチシズムがのびのび表出している。そこはかとなく大胆なロックも顔を出す。
TOCT-11324
1990年発売
ジャングル・ビートを活用し力強いエキゾチシズムで盛り上げた4人組。和製バウ・ワウ・ワウというべき密度の濃いリズム・アレンジにスキはない。リード・ヴォーカル=狩野環の伸びやかでアクティヴな歌唱は爽快そのもの。独特のリフレインがおもしろいコーラスはほのかに和風の味も盛り込まれていて祝祭感もたっぷりある。表情豊かなギター・プレイに音楽的懐の深さも感じさせる。
TOCT-11325
ギター大魔神=ブラボー小松が、朝倉ミツヒロとタッグを組んでぶちかましていたデュオ・ユニットの豪快な一撃。ギターを弾きまくっているのはもちろんのこと、せわしなくせっぱつまった感の強いビートが交差して体内のアドレナリンが騒がずにはいられない。人を食った妙なところがあるのが、ならではである。実験的でなければやっている意味がないではないか、という破天荒な心意気が見事。
TOCT-11327
1997年発売
ファンクを軸にしたモダンでハードなロックを追求した名バンドのメジャー・デビュー・アルバム。ハツラツとした言葉とビートが明朗に躍動する。ジャジーだったり、ソウルフルだったり、幅広いセンスを冴えた演奏に変換する技術は柔軟そのもの。ヴォーカル/ギターの永積タカシ(現ハナレグミ)、リーダーの竹内朋康等、メンバーの現在の活動との関連性を考察するもよし。ダイレクトに音をひたすら浴びるもよし。
TOCT-11328
1998年発売
スラッシュメタルの激しさ、ジャーマンメタルの重厚さ、80年代日本メタルの技巧と華麗さ、親しみやすさを合体させ、素朴な思いや人生の悲喜劇、暗陰部までもをユーモアというより並々ならぬギャグ・センスで音楽化する類稀なるバンドのメジャー・デビュー・アルバム。ドメスティックで親和性の高いドラマを激しく描出する破壊力ある日本ならではのメタル。いわゆる正統派から嫌われるほど。だからこそ“ホンモノ”である。
TOCT-11329
1999年発売
ツイン・リード・ギターでぐいぐい聴かせるが歌唱はどこか涼しげというところが凄い。テクニックを見せつけるわけでもなく、美しさを押しつけるわけでもない。しかしハイグレードでスキのない楽曲が並ぶ。90年代のバンド事情の充実ぶりを物語る作品である。これがメジャーでの唯一の作品というのが信じがたい。重層的で内容豊かな好作品。
TOCT-11330
G-シュミットのヴォーカル=SYOKOと、久石譲がコラボレートした名作。冷徹な打ち込みで前のめりにさせる攻撃的な曲と詩情豊かなバラードとが同居し、メリハリが効いている。実験的作風であるがとても親しみ深い。陰影深いものでありながら夢魔にとらわれていないからだろう。SYOKOの麗しい歌声は聴く者を素直にさせる。
TOCT-11420
1972年発売
独特の声で淡い詩情から苦悩、漂泊感をも歌い綴る。陰のある世界観だが、素朴な内向的悲哀であり、哀惜に沈んだものではない。さわやかなサウンド作りによって少女のとまどいがなめらかに伝えられている。反面、大人の世界に踏み出した喜びもほのかに感じさせるアンビバレンツな面も魅力的。それゆえにブルース・ナンバーも映えるし、60’s風ポップスも見事にはまるのだ。
TOCT-11421
世界を視野に入れたオリエンタルなロックを入念に展開したバンドの唯一のアルバム。ブリティッシュ・トラッドやカントリー、フォーク、世界各地の民族音楽など多彩な要素をくどくなり過ぎず、マニアックな小賢しさもなく、さわやかに表現している。琵琶、尺八、大正琴なども導入。エスニックなポップとしての完成度は高い。ギタリストとして名高い吉川忠英や、瀬戸龍介らが在籍していたことでも知られている。
TOCT-11422
1974年発売
後にオフコースに加入する松尾一彦と大間ジローが所属していたことで知られる、ポップなロック・バンドの唯一のアルバム。軽快なラヴ・ソング、キャッチーなメロディを持つロックンロールが楽しい。しゃれたコーラス・ワークも効果的でストリングスも盛り込んだアレンジは聴き所満載。アイディアもしっかり血肉化されており、おのずからプロ志向であったことがわかる。
TOCT-11423
1975年発売
グラマラスなグラムロックといえば日本ではルージュ、というのが常識である。それが70年代にロックを聴いていた者の本心である。悪辣で軽妙、しぶとくて激越、だがグルーヴィー。虚無感と幸福感がごちゃまぜになっている。それがロックンロールの王道であり本質だ、といわんばかりの横柄さがなによりすばらしい。これは加藤和彦プロデュースによる唯一のスタジオ録音アルバム。東京都下三多摩地区のヒーローである。
TOCT-11424
1982年発売
日本の女性ハード・ロッカーの草分けにしてカリスマ、カルメン・マキによる80年代型へヴィ・メタル・バンドの力作。余計な演出のないシンプルな音作りによって、各々のプレイがむき出しになったことが功を奏している。ところどころにファンキーなビートも加えている。ジョージ吾妻が曲作りにギターで大活躍。サンフランシスコのエンジニア=ダニー・マックレンドンを日本に招いての録音。要所要所の引き締まった音になっている。
TOCT-11426
1989年発売
ダイナマイツ、村八分等で日本のロックのコアの部分を知らしめてきた山口冨士夫が名うてのミュージシャンとガッチリ共闘したバンドのメジャー・デビュー・アルバム。シンプルで野太いビートで攻め立てる。世間に毒づきつつ、芯にポップなテイストが常に保持されている。タイトでまとまりのいいバンド・サウンドは余分な肉がまったくない鍛えられたもの。当時の山口の心象がそのまま投影された歌詞もおもしろい。
TOCT-11427
ルースターズの重要人物、初のソロ・アルバム。プロデュースは布袋寅泰。試行錯誤は覚悟のうえと思える前傾姿勢でロックンロールと改めて向き合っている。爽快である。同時にストイックな心根も感じられる。あえて抑制しているものが内向するエネルギーを高めている。発散するだけでは前進できない、ということを身をもって知る者にだけ成しうる濃密な軽やかさがある。
TOCT-11428
1992年発売
BOW WOW解散後、山本恭司がよりピュアなサウンドとプレイを追求するため、あえてトリオ編成で作り出した強力な一作。ドラムスの満園英二(現Sads)、ベースの満園庄太郎(元Flower)の二人(実の兄弟)が生み出す野太いビートに山本のギターと歌が躍動する。ギミック一切なしの赤裸々なこのロックは結成1年半で100本をこなしたライヴによって鍛え上げられたもの。このトリオはその後新生BOW WOWの母体となる。
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1995年発売
「たま」の柳原の初ソロ・アルバム。「たま」とはもうひとつ別の柳原の素顔を知らしめるような、アメリカン・ポップス/ロックの日本語によるカヴァーを中心とした快作。訳詞はすべて柳原本人が手掛けている。ラモーンズ、カーペンターズ、カーミット、バッファロー・スプリングフィールドと心にくい選曲も楽しい。アメリカと自らとの関係、その屈折、愛情の具合についてほのぼの、ときにシニカルに告白しているかのよう。
TOCT-11430
熱い。熱意の充満した力作である。大阪の野性味をたっぷり表現している。ファンキーでハードで、ところどころおかしなドラマ性が顔をのぞかせる。トータス松本のヴォーカルは常にマキシマムで、ビートをぐいぐい引っぱりグルーヴの中心にいる。体育会系の天真爛漫なコーラスは、まるで学生寮の大宴会のように欲望むき出しの爽快感がある。いつ果てるともしれないスタミナ満点の姿勢がひたすら楽しい。