HOME > Great Huntingスペシャルコンテンツ TOP > アーティストインタビューvol.6 9mm Parabellum Bullet

インタヴュー・文/久保田泰平
最高です!──インタヴューを始めようと、筆者の前に着席した菅原卓郎の開口一番がそれだ。聴き手の胸の内をこれでもかとざわめかせるエモーショルなメロディー、カオティックな世界観の中にも時折刻まれるユーモア、卓越したプレイヤビリティーに裏付けられたスケール感ハンパないバンド・サウンド、ついて行かざるを得ない説得力と頼もしさを備えたスピード感その他もろもろ、9mm Parabellum Bulletがこれまでの作品で聴かせてきたチャームをさらにアップデートさせたサード・アルバム『Revolutionary』は、とにかく並みならぬ自信に満ち満ちた作品になったようだ。
「後ろめたいところがまったくないアルバムが出来た感じですね。いろいろ苦労はしてるんですけど、これだけ苦労したんだから聴いてくれ、誉めてくれみたいなのじゃなくて、もう、出てる音が素晴らしいから、とにかくそれを聴いて欲しいってことなんですよね」。
『Revolutionary』でひとつのトピックになっているのは、メジャー・デビュー以来携わってきたプロデューサー・いしわたり淳治の手を離れ、バンド自身によるプロデュースになったこと。そのあたり、今回の“手応え”に反映されているのだろうか。
「淳治さんはどのバンドに対してもそうだと思うんですけど、バンドの様子を見ているというか、基本的にはバンドのやりたいようにやらせるっていうやり方だったので、やりたいようにやるというところは今回もいっしょなんです。とはいえ、自分たちでプロデュースするということは、各々がやらなきゃいけないことにすごく集中しなければならないってことだし、そのうえでみんなが補い合うっていう、そういう違いはありましたね」。
トピックということで続けると、これまでのアルバムでは個人として、バンド名義として作曲に加わっていた菅原が、『Revolutionary』ではまったくクレジットされていないということ。
「パート単位では、自分の考えたアイディアが入ってたりするんですけど、作曲者っていうのは作曲の責任者、世界観を決定づける人。今回、僕はその点、ほとんどなにもしていないので。3人がアレンジしているあいだ僕は家で歌詞を書いてるっていうように、作業を分担してやりました。バンドの仕組み的には4人でアレンジするほうが良かったりすることもあるんですが、作詞者として前回できなかったこと──ちょっとここは届いてなかったなあって思うところをクリアしたかったんですよね。もっとはっきりした言葉っていうか、全力を出してるんだけど、その出し方がヘンに力んでるみたいな時ってあるじゃないですか。そのあたりを自然にやろう、そのうえでもっと届くようにしようっていうのをすごく注意深くやりましたね。だから、俺は歌詞を書いてるからアレンジはみんなに任せます、お願いしますって感じでした」。
9mm Parabellum Bulletにおいて、菅原卓郎はメンバーの中で彼にしか担えない3つの役割を担っている。まずひとつは作詞。『Revolutionary』におけるその熱意をさらに続けよう。
「僕が歌詞を書く段には、ほとんどアレンジまで終了してることが多いんです。そこに“ラララ……♪”で歌ったメロディーが入った状態のものを預かって、それをずっと聴きながら言葉を浮かべてく感じで。だから、メロディーやアレンジによって言葉が引き出されることは常にあるし、それがいちばん良いやり方だと思ってそのつもりでやってきたんですけど、今回はさらに、曲が持ってる感情やその曲が何を言わんとしてるかを完璧に聴き逃さないように意識しましたね。曲の中に出てくる人のことをちゃんと描きたかったというか、人の感情をしっかり描こうっていうのも今回の大きなテーマで、曲の感情をちゃんと拾うっていうことにも繋がってくるんですけど、そうすることによって、自分が歌う時により確かな感じが得られると思うんです。今回、そこはガツンと達成できたと思ってるんです」。
菅原卓郎の役割、その2つ目はヴォーカルだ。あの面構えから発せられる圧倒的なパフォーマンスには、パワーだけで済ませてはいない豊かな表情がある。彼は日々、自らの歌、歌声をどんなふうに磨いているのだろうか?
「とにかく、歌うことを楽しいと思うことですね。それも無理矢理思うんじゃなくて。あとはずっと歌ってるってことかな。ヴォーカリストの技量は楽器と違って図りにくいですからね。上手下手の解釈も人それぞれだと思うし。去年、『VAMPIRE』のツアーが終わったあと『Black Market Blues e.p.』を作っている頃ぐらいから、僕自身もようやく歌うのがすごく楽しいっていう手応えを感じて、自分がどのくらい上手くなってるのかっていうのとは別の次元で、言葉が自分にしっくりきてるというか、歌った時に相手に届く感じが違ってきたなって思えたんですよね。いままで以上に堂々としていられるというか。あと、最近よく思うのは、この曲を演奏するのは俺たちしかいないんだから俺たちがいちばんかっこよく演奏できるはずだ、そうできなきゃおかしいんだっていう。何かに対してちっちゃくなる必要はないんだっていう気持ちでやっていると胸を張って歌える気がするんです」。
3つ目は、フロントマンとしての役割。9mm Parabellum Bulletは、言うなれば全員がフロントマンと言えるぐらいメンバーの個性と良い意味の図々しさがあるバンドではあるが、やはりステージのセンターに立ち、言葉を放っている菅原がフロントマンであることに間違いはないだろう。そして、百戦錬磨を重ねてきたフロントマンの顔つきは、日に日にたくましくなっている。
「たしかに、顔は変わっていったと思います。顔を使ってるから、歌ってる人はだいたいそうなると思うんですけど。メンバーみんな会った頃は人見知りというか、シャイな若者でしたね。でも、8年ぐらいいっしょにやってるし、ここ5年ぐらいは毎日のように顔を合わせてるから、どんなにクラかったやつでも、メンバーの前では大笑いできるようになりますよね。それに、バンドをやってると気持ちがオープンになっていくと思う。音楽性によるかも知れないですけど、人前で表現するわけだから、そこで縮こまっててもしょうがないというか。9mmの中でのフロントマンの役割は、それこそライヴ中に何が起きるかわからないバンドなので、そこで“いつものことなんですけど”っていう感じで、いちいち動揺しないことですかね(笑)。ハプニングすらも楽しんでます」。
といった高い意識のもとで、驀進を続ける9mm Parabellum Bullet。その活動は年々ハードさを増し……。
「ライヴもいっぱいやったし、アルバムも去年のうちに作ってるから、去年はもっともハードな一年だったかも知れないですね。でもまあ、毎年ハードだったなって思う(笑)。比べようがないんですよね、ハードさの。例えば、2007年の自分が去年のスケジュールをこなそうとしたら、たぶん2、3回倒れてたと思うんですけど、今の自分だったら平気だし……だからまあ、コツがわかるまでは毎年キツいですよね(笑)。気にしてないですけど」。
作品のセールス、ライヴの動員数も更新を続け、昨年は武道館公演も実現。立派に“売れてるバンド”の仲間入りを果たした。
「売れてる実感がないって言ったら嘘になりますけど、数字は数字なので。『Revolutionary』を作りながらずっと思ってたのは、顔が見えない何十万人に届けようってことじゃなくて、ちゃんと誰か、“これ、オレらのアルバムなんだけど”って初めて会った人に手渡ししても、ちゃんと聴いてもらえるようなものにしようっていう、そういう気持ちでレコーディングしていました。もし、そういう場面になった時、作っているものには嘘がないんで、うん、実際にかっこいいと思ってくれるんじゃないかな」。
ところで、アルバム・タイトル『Revolutionary』の持つ意味、それを象徴するのはどういった部分だったりするのだろうか。
「曲にすごく向き合って出来たアルバムなんですね。そのうえすごく自分らの気持ちを表しているアルバムになっているってことが、タイトルみたいなことなんですよね。ちゃんと気持ちを持って伝えようというところが、前とはぜんぜん違うし、何が革命的かって言ったら、そういうところなんですよね」。
最後に、“音楽で生きていく”をサポートする「Great Hunting」的な問いを。歌詞で悩んでるアマチュア・ミュージシャンに向けて、どういうふうにすれば自分なりの言葉を紡ぐことができるのかアドヴァイスを。
「まず、いっぱい書くことですかね。苦しくてもいっぱい書く。どんなに物語的だったり空想的な歌詞を書いたとしても、結局自分から生み出してるもの、自分と向き合ってることなので、苦しさから逃れたら嘘を歌うことになっちゃうと思うんですよね。生み出した気持ちに嘘があれば、聴いた人もピンとこないと思うんですよ。だから、苦しかったり恥ずかしかったりするんですけど、ちゃんと自分に向き合うってこと、さらにそれを楽しむってことですね。いっぱい書いてくうちに、結局なにかに似ちゃったりすることも最初はあると思うんだけど、でも、どこかのポイントにこれはオレの言葉だっていう部分が必ず見つかるので。あとは、自分の気持ちをというよりも、曲の気持ちをちゃんと表してあげることが大事ですね。文章ではなく、音楽なんだから」。