3月16日に英発売される(日本は先行で3月11日)、ピートにとって初のソロ・アルバム『グレイス・ウェイストランズ』。それに先駆け、2月22日から始まった公式UKツアーには、あのグレアム・コクソンが同行することになった。実はこの件については、先月行ったRockin’onの取材中にピート自身がNMEより先に明かしてくれていたのだが、まさかグレアムがこれほど完全に「バンド・メンバーの一人」として参加するなんて!
この夜ロンドン・シェパーズ・ブッシュ・エンパイアでその光景を実際目にするまでは予想もしていなかった。ピートの弾き語りによる“ミュージック・ホウェン・ザ・ライツ・〜"で始まった(いきなりリバの曲!?)時から、何となくスペシャルな夜になりそうな予感はあったが、2曲目“アーケイディー"に入る前アダムとドリュー(ベビシャンのDrとB)が登場し、その後に当然のような顔でグレアムが登場した時は、やはり場内から息を呑む声が。そう、今回のツアーはミック(ベビシャンのG)のサポートとしてではなく、グレアムが完全にこのバンドのギタリストとして同行する。そのせいか、ライヴ・サウンド自体も通常のベビシャンのそれとは全く別物。ゴリラズっぽいビートの“ラスト・オブ・ザ・イングリッシュ・ローゼズ“も、"1939リターニング“も、ハード・ロッキンな"スルー・ザ・ルッキング・グラス“も、これまでネッ上でト公開されてきたデモ・ヴァージョンとはまるっきり違う。ベビシャンのライヴ特有の「どこか危なっかしい不安定さ」もどこにもない。ストリングスを動員して演奏された"サロメ“に至っては、まるで百戦錬磨の熟練バンドでも観ているよう!バンドってギタリスト一人でこうも変るものなんですね。驚き。
この日は他にも"シープスキン・テアウェイ“でドット・アリソンが参加したり、最後の数曲ではプロデューサーのS・ストリートまでギターで加わったり、このライヴ自体が何か「音楽一家=ストリート家」の祝祭パーティみたいなノリ。でもウルフマンの姿は最後までなし。「今のピートにとってはネガな影響」ってことでこの一家の父=ストリートに外された?・・・なんて邪推をしたくなるほど終始清々しく、観ているだけで暖かい「家族愛」が伝わってくるような約1時間40分。無論ダイハード・ファン用に、ピートのソロ弾き語りコーナーもちゃんとセットの中盤に配置。まさに至れり尽くせり。汚名とスキャンダルまみれの過去より、今のピートを何よりも労ろうとする家族達に恵まれ、伸び伸びと歌い演奏するピートの幸せそうな顔が眩しい・・・。この人は今度こそ生まれ変わったんじゃないか? 何度もそう思った。。
2009年3月8日 児島由紀子/Rockin' on
<セット・リスト>
22nd,Feb.2009 @London Shepherds Bush Empire
1. Music When The Lights Go Out
2. Arcady
3. Last of The English Roses
4. 1939 Returning
5. A Little Death around The Eyes
6. Salome
7. Trough The Looking Grass
8. Palace of Bone
9. What A waster
10. Never Never
11. The Lost Art of Murder
12. I Am The Rain
13. Sheepskin Tearaway
14. Lady, Don’t Fall Backwards
15. Sweet By And By
16. New Love Grows On Trees
17. Broken Love Song
18. Albion
Encore
19. Time For Heroes